幼い女神(アマテラス)はかく語りき☆新作ライトノベル紹介☆試し読み（１８）

５月２日発売！

メーカー希望小売価格：810円＋税

まずは、タイトルとイラストから

《神》とは“誓約”であり、《士》とは“信義”である。
『クロックワーク・プラネット』の暇奈椿、待望の新シリーズ！

現代の日本、燈京――アメリカから訪れたインタビュアーを前に、幼い女神はかく語る。「それじゃあ、彼の話をしましょう――」時は古代、空白の四世紀――未だ神話が綴られる神秘と幻想の時代。この国のはじまりを築いた、はじまりの《士》の話。――邪馬台の侵略、異国の神々、異形のモノノケ、《化外》の民。真人と常夜。ただの人間だった少年と、無力な女神だった少女との出会いが、最新にして最古の誓約を結び奉る――!!アニメ化された大人気シリーズ『クロックワーク・プラネット』の暇奈椿が紡ぐ、過去と現在が交錯する新たなる創世ファンタジー！

⇒このライトノベルのスタッツはこんな感じ

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変わり種。ジャンルは神話。ましてや日本神話の神々、半神等が物語の主人公になるのはライトノベルとしては極めて稀。路線としては、「東京レイヴンズ」や「学園陰陽師」あたりに近しいような気もするが、世界観すら現代でないのは、あまり見たことが無い。こういったジャンルが少ないのは、やはり親近感が湧きづらい。話や設定が難しくなりやすい。そもそもラノベ作家の中に神話の知識に詳しい人が少ない。さらに言えば、出版社に売れたジャンルとしての成功体験が無い。というのがあってプロット段階からお蔵入りになることが多いのではないか。この作品は、売れないかもなことをわかってて書きたいことを書くという崇高なモノ作りをまともに突っ走ってやっているので、ニーズの有無にかかわらずがんばってほしい。

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登場人物が多く、時代を行き来したり、回想に入ったりとかなり難解。ただ、がんばって読み進めていくと、題材が神話だけに気宇壮大で荘厳な世界観が広がっている。読んでみれば満足度の高いストーリーといえるのではないだろうか。力の象徴である鬼（恐らくアイヌや物部、スサノオ、国津神系）と、人々の信心の象徴のトヨ（天津神系）の存在に対して、主人公は、人間の信仰に頼らない合理性や、科学を取り入れた人間主体の時代の到来を告げるものとして描かれている。これは、世界のどの神話でも対立構造として描かれるものとなっており、歴史好きな人には面白い作品になっている。あとは、どれだけの人が１巻を買ってくれるかにかかっている。

現代の日本人は神話に詳しくない上、多少知識を持っている人間にも違和感のある登場人物設定。大まかな流れは逸脱していないが、相当読み込まないとそれも理解しずらい。正直前後関係や人間関係を読解するのに骨が折れる。登場人物名もかなり難しく、地の文にもルビが多いため、普通のライトノベルを読もうとして読むと痛い目にあう作品だと思う。試し読みが100P超になっていることも、設定に紙幅が取られているので、ストーリーが始まるまで読ませたいという心意気だと思われた。

■総評
歴史や神話研究をやっている人にとっては、なるほどと思えるし、あるいは「カンピオーネ！」あたりを読んでいる人にはわかりやすいかも？　非常によみずらいが、お話の組み立て方はさすがに面白いと思われるので、売れなそうが、隠れた名作になるかもしれない。あとやっぱり夕薙さんのキャラかわいいし、世界観が特殊なものは相当上手い。

・オカルト好きな人
・日本神話に興味がある人
・難解だが噛み応えのある作品が好きな人
・物語に隠された真意がある
　ミステリーや文芸が好きな人