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魔術破りのリベンジ・マギア1. 極東術士の学園攻略☆最後まで読みました(3)

魔術破りのリベンジ・マギア1.
極東術士の学園攻略
魔術破りのリベンジ・マギア1. 極東術士の学園攻略 (HJ文庫)
先日は試し読みを紹介したところ、作家の子子子子 子子子さんネコジシコネコさんからツイッターのフォローもしていただきました。ありがとうございます。
遅ればせながら、最後まで読ませていただきましたので、感想を掲載させていただきます。失礼な部分もあるかと思いますが、ご勘弁を!
試し読み感想については下記。

正直言ってかなりの良作です。HJ文庫の大賞作品の中でも屈指の出来映えでは無いでしょうか。はっきり言って、買った方がいいです。重版もかかってますし、シリーズも長く続くでしょうし、正直何巻も読みたいし、アニメ化だってしてほしい作品なので……是非! 是非!

以下非常に、ネタバレ成分を含みますので、ご注意ください。

 

■単刀直入に感想
まあ、試し読みの際に、色々書いていたと思いますので、早速感想を!
ま、まさか! 主人公はおんにゃの子じゃなく、男の娘だったとは……。まあ女装してるだけで、戸塚彩加みたいな可愛さがあるわけではないですが……。それと作家さんの知識量は予想以上でした。西洋魔術、北欧神話、特に陰陽道に使われる密教系、神道系、あるいは道教、呪禁道、そしてインド系の知識まであるのではないかと思われます。これだけ詳しく設定に入れ込んでいる作品はあまりなく、類似の作品としては「悪霊シリーズ」が挙げられるでしょうか。私自身はこのシリーズからオカルトに興味を持ち、小野清秀の「加持祈祷秘密大全 (1936年) 」等を読んで、大学でも各地の神話等を勉強してきたのですが、本作は知識量、質ともに申し分の無い作品となっています。オカルトの導入書としてもいいし、感化されてオカルト好きになる人も居るかもですね。

悪霊がいっぱい!? (講談社X文庫―ティーンズハート) 加持祈祷秘密大全 (1936年)

■改善点(長め)※色々失礼
そんなわけで良い点ばかり挙げたのですが、改善点も見られます。設定としての詳細なオカルト知識。こちらは先述の通り申し分ありません。ただ、ストーリーとしてのミステリー部分に物足りなさを感じました。例えば、先ほど挙げた小野不由美さんの「悪霊シリーズ」等では、オカルトとミステリーを絡み合わせ、オカルト知識と科学現象を手がかりに、事件を解決していくのですが、本作はどこかちぐはぐな印象を感じました。最も、小野不由美さんの場合は、京大ミステリー研で同期に綾辻行人さん、法月綸太郎さん、我孫子武丸さん等がおり、綾辻行人さんと結婚してるくらいですから、まあずるいっちゃあずるいですね。と、話がそれました。
本作では、中ボス、大ボスの二段階で構成されています。中ボス解決の際には、調香された紅茶と、魔法陣、お呪いの言葉の三種で死霊術を発動させるわけですが、もう少し主人公が手がかりを得るまでの過程が書かれていた方が面白かったかなと思いました。生徒会長のお茶会に参加したときに気づくとか、誰かが紅茶を入れる際におかしくなる描写とか、この場合はワトソン役のティチュですかね。時間経過ももう少し余裕を持たせてよかったかもしれません。
大ボスの方はどうしても荒唐無稽になってしまうのは仕方なく、かつ何年も前から仕込んでいたというものになるため、主人公が1つ1つの手がかりを集めていく過程を描くのは中々難しいと思います。例えば、ティチュの痣を見るシーンとかが少し描写されたり(サービスシーンにもなる)とか、母親の様子を伺ってサブリミナル的に気づく要素を入れておくと、深みが増したように思います。新人賞作品にしては紙幅も多く用意されていたので、主人公の生い立ちの部分を多少削っても、ミステリー部分を補強しても良かったかもですね。
また、アクションシーン。呪術や魔術を使ったアクションは、読んでいる側にとって潜在的にわかりづらいものとなります。例えば「東京レイヴンズ」では、土蜘蛛、龍、白馬等、随所に動物が使われていたり、視覚的に訴える要素、例えば色などが使われています。呪文や下ろす神格等、オカルトファンにとってはかなり心躍る感じにはなっているのですが、視覚的な要素が弱い印象でした。あとは、かなり個人の趣味ですが、大元帥明王大威徳明王馬頭観音マントラ等を出してほしかったですw
というのが個人的な感想です。
ただ、新人賞作品なので、応募作に全部詰め込んだ単巻完結ストーリーを作らざるを得ず、発売までに時間が限られてくることも考えると、どうしようもない部分かと思います。いずれにしても久々に一気に読んだ新人賞で、非常に完成度が高かったです。

東京レイヴンズ1 SHAMAN*CLAN (富士見ファンタジア文庫)

■というわけで総評
色々書きましたが、ひゃー非常にいい作品でした。特に私の場合、良作ほど文句が出てくるのでwwwこれだけ語れる作品が良作でないわけがありませんHJ文庫さんにしてみれば、これだけの知識を持った作家さんを新人賞で獲得できてホクホク顔なんじゃないでしょうか。このシリーズも続いてほしいですし、ラノベ読みに一定層いるオカルトファンの心をつかめば、第2作、第3作と、この路線で誰よりも詳しい著者さんですから、ヒット作を作り出せるのではないかと思います。
・オカルト好きな人(興味ある人)
高齢化した中二病患者
・しっかりした本を読みたい人
・面白い作品を読みたい人
オススメです!
というわけで、今日はこんな感じでした。最後にもう一度

魔術破りのリベンジ・マギア1.
極東術士の学園攻略
魔術破りのリベンジ・マギア1. 極東術士の学園攻略 (HJ文庫)

 

 

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