ビューティフル・ソウル☆新作ライトノベル紹介☆試し読み（７８）

毎回新シリーズライトノベルの試し読みから新作を紹介する本コーナー
今回は、このラノベ「ビューティフル・ソウル」をインフォします。

ビューティフル・ソウル
――終わる世界に響く唄――

８月２日発売！
Amazon.co.jpで詳細を見る
メーカー希望小売価格：640円＋税

詳しくは公式で

「この終わった世界で、出会ってくれてありがとう」
これは、こんなにも優しくない世界に残された、
誇りと希望の物語――

――世界は終わってしまった。容赦なく終わってしまった。完璧に完全に徹頭徹尾終わってしまった。不自然に不可避に不可逆に終わってしまった。絶対に圧倒的にどうしようもなく終わってしまった。世界を世界と呼ぶ必要がなくなるほどに、終わってしまった。――それでも僕らはこの場所で、何かを信じてもがいてる。――惨めで弱くて矮小な、どこにでもいる《人間》 として。これは、こんなにも優しくない世界に残された、誇りと希望の物語――

■著者
坂上秋成さんは、ビジュアルノベルで有名な方で、どちらかというと一般文芸のイメージでした。ラノベは今回が初かもしれませんが、試し読みを読んだ時点では、なるほどという感じです。
■イラストレーター
イラストのニリツさんは、言わずと知れた人気絵師さんですよね。先日は「正しいセカイの終わらせ方」で紹介しましたが、SFやダークファンタジーなど独特な雰囲気のイラストを描くのが得意なベテランイラストレーターさんです。というか、表紙のこの構図。背中からお尻のラインがすごい素敵です！　ニリツさんありがとう！

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⇒このライトノベルのスタッツはこんな感じ


そして私の評価はこちら

読みづらいので簡素にしていく方向です。
※試し読みとはいえネタバレを嫌う人もいると思いますから･･････工夫します。

■ジャンル
かなりグロテスクな表現もあり、そして非常に悲しく切ないお話。儚い世界は、まさに二リツさん醸し出すの雰囲気にピッタリの小説。ジャンルで言えば、パンデミック・パニック系のお話。
　古くはアフリカのブードゥー教での霊魂「生ける死体」、映画史では1932年の「恐怖城」から始まり、現代に至るまでたくさんの作品が生み出されています。
　本作も「バイオハザード」だったり、「学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD」だったりと同じくくりになるのかな。噛まれると感染しないだけ本作の方が幾分マシ。
　設定はかなりこだわって作られており、SF作品として、重要な要素は押さえている。少なくとも、世界観や設定でがっかりすることはなく、むしろワクワクするくらいしっかりとした作り込みになっている。

■ストーリー
設定に重さがあり、スペクタクル要素がついて回るゾンビモノ。そのせいかストーリーラインは陳腐になりがち。親しい人の死、死者を再度殺す痛み、どんどん増えていくゾンビに対するパニック的な恐怖と絶望、人類を実験台にした許されざる黒幕等々、このジャンルを選ぶだけで、ドラマティックなストーリーを演出する要素が揃う。それだけに、差別化させるのは容易ではない。本作ではどこに差異が現れるのか。

■気になった点
　差別化が難しいのは前述の通り。さらにもう一点、登場人物たちの心情描写に加え、アクションシーンの表現の難しさが、この手のスペクタクルモノをラノベ作品にすることを阻んでいる理由の一つ。ただ、ラノベにおけるアクションは性質上その多くを諦めなければならない。その代わりに、心理描写がとても大事になる。その点、本作品では、試し読み時点で心に残る文章を読むことができた。下記抜粋を掲載する。

「………すごく、悔しい。自分が死ぬことが、じゃない。死んでいく自分を、きみに見せてしまうことが悔しい。あれだけたくさん走ったのに、何も人間に報いを与えてくれない、この世界が悔しい。伝えたいことも伝えさせてくれないで、夢も見させてくれないで、絶望だけを叩きつけてくる、この優しくない世界が、悔しい」
「この瞬間、きみに希望を与えてやれないことが、悔しい」
「……クラナ、まだだよ。わたしが死んで、それで終わりじゃない。きみの世界は、まだ続いちゃんだ。だから――」

――生き延びて、と彼女は言った。

「絶望しかなくて、夢がなくても理想がなくても、ただ、生き延びて。
　意味も痕跡も達成も無くても、全部が無駄に終わるとしても、それでも、生き延びて。
どれほど残された時間が短くても、どれほどの不安を胸に抱えていたとしても、どれほど多くの人を傷つけることになっても、ひたすらに、生き延びて。
　……それが、わたしの遺言だよ」
　本当はもう少しロマンティックなやつが良かったんだけどな、

これについてどうのこうのは語らない。感じるものがあった人は買って読んでみてほしい。
（この手の抜粋ってどの程度やっていいのかわからないんですよね。だれか、偉い人、間違っていたら消しますので、ご連絡ください）

 

■総評
やや設定が過多気味です。ただ、ルビ振りが多く中二っぽさが出ているので、そんなに読みにくいという感じではないですね。このジャンルはそれほど好きではないですが、スペクタクルモノとして、先が気になる展開となっています。お約束破りでヒロインも殺してしまいましたし……。
　この後の気になる点としては、死んでしまったヒロインがどこかで再登場するかもしれないこと。映画版「バイオハザード」みたいに敵味方に分かれてしまうようなことになったら大変だなと。まあないでしょうけどね。
　お約束も破ってしまいましたし、展開も読めないため、本当にハラハラしてしまいます。できれば長編になってほしいですね。最後に、タイトルとキャッチコピーうまいですね。
・人類の脅威に立ち向かうスペクタクルを楽しみたい人
・安易な俺強に流れない物語を読みたい人
・設定や世界観に作り込みの多いSFを読みたい人

上記の人にはオススメだと思います。

 

最後にもう一度、そんな本作みなさまよろしくお願いします！

ビューティフル・ソウル
――終わる世界に響く唄――

８月２日発売！
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メーカー希望小売価格：640円＋税

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